シングルオリジンコーヒーが広まって、いろんな生産国の様々な農園のコーヒーがお店に並ぶようになってきました。
ただ、「グアテマラ ウォッシュト」とか「パナマxxx農園ゲイシャ ハニー」とか言われても、「ウォッシュトって?」「ハニーってコーヒー種類かな?」ってなりませんか?
コーヒーを仕事にしている人にとっては馴染みが深いこれらの用語も、大半の人にとっては「呪文」のような言葉ですよね?
そこで、みなさんがこの記事を読んで、コーヒー屋さんに行ったら、
「あぁー、これはこういうお豆ね!」って理解できるように解説していきたいと思います!
今日はコーヒーの加工法の「ナチュラルプロセス」について解説していきます。
コーヒーの加工法って?
コーヒーってもともと何だかご存知ですか?
正解は、コーヒーの木になる「果実の種」です!
上の写真ようなコーヒーの実を見たことある方もいらっしゃるかもしれません。
コーヒーの木は「ぶどう」のような赤い実を年に1回つけるのです。これを「コーヒーチェリー」と言います。
ぶどうと一緒で、皮の中には甘い果肉があり、その中に種が通常は2個入っています。
その種を取り出して、見慣れた「コーヒー」の姿にする工程を、「コーヒーの加工」または「コーヒーの精製」と言います。
お米と一緒で、稲から収穫しただけでは食べられないので、精製してあげます。
コーヒーの加工法の種類
コーヒーの加工法には大きく2つに分かれます。
・ウォッシュトプロセス
・ナチュラルプロセス
です。
そのほかにも、「セミウォッシュト」と呼ばれる上の2つの加工法の中間のような方法があり、歴史的にはインドネシア・スマトラで行われている「スマトラ方式」があります。
近年では、コーヒーの味わいや甘さを増幅するために、主にラテンアメリカで「ハニープロセス」や「パルプドナチュラル」と呼ばれる加工を行う農園も増えてきました。
ナチュラルプロセスとは
ナチュラルプロセスとは、"Natural Prosess"と書き、自然な方法という意味です。
加工法としてはいたってシンプルで、
収穫したコーヒーチェリー(コーヒーの実)をそのまま太陽に当てて乾燥させる
といういうものです。
「そのまま」コーヒーチェリーを乾燥させるので、果肉もついた状態で乾燥させます。乾燥して、カラカラになった状態で、コーヒーのタネを取り出してあげます。
これが、ナチュラルプロセスです。
ナチュラルプロセスがコーヒー業界では一般的な呼び方ですが、コーヒー屋さんによっては「乾燥式」や「サンドライド 」と呼ぶお店もあるようです。どれも指しているものは同じでナチュラルプロセスを指しますが、「サンドライド(Sun Dried) 」と呼ぶ場合は太陽の熱と光で乾燥させた「天日乾燥」でナチュラルプロセスをしたことを指します。ナチュラルプロセスの乾燥には機械で行われる場合もあるので、「天日乾燥」と強調したい場合は「サンドライド 」と呼ぶようです。
一般的に、ナチュラルプロセスが多く採用されている国は、エチオピア、イエメン、ブラジルです。最近ではスペシャルティコーヒーが人気なので、独特な風味と付加価値をつけるために、これ以外の国の多くの農園でもナチュラルプロセスで加工しています。
ナチュラルプロセスの味の特徴
ナチュラルプロセスはコーヒーの実のまま、果肉をつけた状態で乾燥させます。
そのため、コーヒーの果肉の甘さや風味がコーヒーのタネに移り、
トロピカルフルーツやワイニー(赤ワインのような)などと表現されるほど、
コーヒーとしては独特な風味や甘さを持ったものになります。
完熟した果実のような味わいが特徴のコーヒーです。
逆に、この独特な風味が青臭く感じる方もいらっしゃいますので、
好みに合わせてチョイスすると良いでしょう。
また、コーヒー豆の外見の特徴でいくと、
ウォッシュトのコーヒーは綺麗な黄緑色の豆ですが、ナチュラルは茶色や黒色に近い色になります。
ナチュラルプロセスのコーヒーを味わう
ナチュラルプロセスのコーヒーはスペシャルティコーヒーを扱うコーヒー屋さんならほとんどの店で取り扱いがあり、入手は比較的容易です。もちろん時期により取り扱いがない場合もあります。
ナチュラルプロセスのコーヒーはこちらで確認できます。ナチュラルプロセスのコーヒーだけでなく、同じ国の(できたら同じ農園の)違う加工法のコーヒーを飲み比べてみると加工法による味わいの違いがはっきりとして面白いです。
**photos are from unsplash