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先日、カップオブエクセレンス(COE) ・ホンジュラス2018のオークション結果の記事を書いていて、最も高いスコアをつけたホンジュラスのサンフランシスコ農園のゲイシャ種が1ポンド（約450g)あたり80ドル近くで落札されているのをみて、コーヒーの国際価格について気になったので調べてみた。
大手コーヒチェーンのスターバックスでは、250gの焙煎されたコーヒー豆が1200円ほどで買える。タリーズでも200g1袋1000円ほど。「【検証】コーヒー豆を買えば、1杯いくらでコーヒーが飲めるのか？？ 」で、検証したように、大手コーヒーチェーンのコーヒーは10gあたり約50円で売られている。
このCOEでの80ドルの値は破格だと思ったが、実際はどうなっているのかみていきます。
コーヒーができるまで
コーヒー豆ってなんだかご存知だろうか？お恥ずかしながら筆者もコーヒーを始めた当時はコーヒーの木からはコーヒーの種がそのままとれ、それを焙煎してコーヒー豆として売っていると思っていた。しかし実際のところは、コーヒー豆はコーヒーの木から取れるコーヒーの果実（コーヒーチェリーと呼ばれ、一般的には赤色）の中に入っているコーヒーの種なのである。コーヒーの実には果肉もあり、誤解を恐れずにいうと、構造的には「ぶどう」を想像していただければ良いだろう。大きさは違うが、「ぶどう」の種のようなものが、コーヒー豆の焙煎前の生豆と簡単には言えるだろう。
さて、コーヒーの種を植えて、芽が出て、木になり、実をつけるまでには、ざっと3~5年はかかる。そして、長い年月をかけて実がなったコーヒーの木1本からからとれるコーヒー豆はおおよそ1ポンド（約450g)のみである。3~5年かけて収穫できるコーヒーの量は、スターバックスで売られているお豆の袋(250g)がだいたい2袋分。値段にすると、5000円弱なのである。ただ、我々が目にするコーヒー豆は、コーヒー生豆の状態から日本に輸送、焙煎・加工されたあとの形なので、コーヒー農家が手にできる収入はもっと低いはず。そう考えると、COEホンジュラス2018で1ポンド80ドル（日本円概算9000円）というのは破格なはずだ。ちなみにCOEのオークションでつけられた価格は、諸経費を引いて、ほぼ全てコーヒーを栽培した生産者が手にすることができる。
コーヒーの国際価格
早速だが、IMF（国際通貨基金）が発表しているコーヒーの国際価格をグラフ化してみた。左側の軸の数字が値段を表すが、単位はUSセントだ。USドルではないので注意してほしい。1ポンド(450g)あたりのコーヒーの価格をUSセントで表している。執筆時、1USドルは約111円だが、わかりやすくするために、1ドルを100円とすると、1ドル=100セントなので、100セントは100円となり、左の軸は日本円と読みかえていただいても、構わない。
グラフには、青色とオレンジ色の線が2本走っており、青色はアラビカ種（一般的なスペシャルティコーヒーはこちらの品種）、オレンジ色はロブスタ種の価格を示している。1980年から2017年までの月毎のデータである。
データ最終の2017年6月のアラビカ種は144セント（=円）、ロブスタ種が104セントとなっている。アラビカ種だけ見ると、2001年に55セントまで下げ、2011年には300セントを超えている。だいたい、100~200の間を行き来しているといえよう。国際価格的には、1ポンドあたり1~2ドルくらいが相場である。これはもちろん、国際価格であり、各々のコーヒー生産地とコーヒー業者のやり取りではもっと高値で取引されたり、逆にもっと安値で取引されることは大いにある。そして、我々が飲む風味に優れた高品質のコーヒーははるかにもっと高音であると考えられる。さらに、参考をいうと、COEのオークションの落札価格は通常1ポンド10ドル前後になることが多い。そう考えると、1ポンド（約450g）5ドルほどがコーヒー豆の価格ではないのかなと予想される。コーヒー生産者が3~5年かけて育てたコーヒーの木一本あたり5ドル（約500円）。これが高いか安いかは皆さんの価値判断に任せたい。もしこれが不当に安いと思うなら、もっとコーヒーを生産している国や人々に敬意を払って飲みたいところである。
さて、1ポンド80ドルの値をつけたホンジュラスのCOEのゲイシャ種はやはり異常だと言えよう。そんなコーヒーを日本の丸山珈琲・猿田彦コーヒーは落札しているので、早くて今年、遅くとも来年には日本で味わえる日がくるであろう。ただ、焙煎された後、我々が購入時の値段は破格に高いものであると考えられるが。
