
ディカフェの認知も昨今上昇してきましたね。
個人的にもディカフェは常備しています。
夜寝る前にコーヒーを飲むとやはり目がぱっちりしてしまう方なので、夜は断然ディカフェ派です!
今日はディカフェの処理方法「スイスウォータープロセス」について解説していきます。
ディカフェとは

まずは軽くディカフェの説明をしておきます。
コーヒーには「カフェイン」と呼ばれる成分が含まれます。
一気に大量に飲むと、死に至ることもあるのですが、
その「一気に大量に」という量が一度にコーヒー80杯とかなので、普通の人は中々これほど大量には飲めないと思います。
それでも、コーヒーに入ってるカフェインは、飲むと元気になったり、目が覚めたりする「覚醒効果」があるとされます。
夜寝る前や、妊婦や幼児などはあまり摂取したいものではありません!
そこで、コーヒーの中に入ってる「カフェイン」を除去しようというのが「ディカフェ」です。
英語のDecaffeination(カフェインをなくすの意)の最初をとって、日本では「ディカフェ」と呼ばれています。
英語では「ディーカフ」と発音するので、注意が必要です。
ディカフェの歴史
ディカフェの始まりはひょんなことからはじまります。
1900年代の初め頃、ある貿易船がコーヒーを運んでいました。
ところが、嵐に遭い、コーヒーが海水に浸かってしまいました。
ダメになったコーヒーは通常捨てられますが、
その貿易商はそのコーヒーを飲んでみたと言います。
飲んでみると、驚いたことに、夜も眠れる「カフェインなし」のコーヒーができあがったそうです。
もちろんは味はよくなかったと思いますが、
これがコーヒーのカフェイン除去の始まりだそうです。
ディカフェ技術とは

上の貿易商の話しからなんとなく気づいた方もおられると思いますが、
カフェインは水溶性
なのです。水に溶けるのです。
なんだ、じゃあ、水につけてあげれば、カフェイン除去できるじゃん!簡単じゃん!
と思われるかもしれませんが、
水溶性なのはカフェインだけではないのです。
コーヒーに含まれる味や酸味などを形成する成分の中にも水溶性のものはたくさんあり、
水に浸けただけでは、他の成分も抜けてしまい、コーヒーが美味しくなくなってしまいます。
そこで、どうしたら、カフェインだけを溶かし出して、
他の成分はできるだけそのままにして、コーヒーの美味しさはそのままにしようかというのが、
カフェイン技術の開発の歴史なのです。
現在、世界的に有名なディカフェの方法は3つ。
・ダイレクトコンタクト法
・二酸化炭素抽出法
・スイスウォータープロセス
とあります。
ダイレクトコンタクト法は塩化メチレンという化学物質を使うのですが、日本ではその使用が認められておらず、現在ダイレクトコンタクト法は使われていません。(海外では使われています。)
日本でよく使われるスイスウォータープロセスについて次で解説していきます。
スイスウォータープロセスとは

スイスウォータープロセスによるカフェイン除去はカナダ・バンクーバーに本社を置くスイスウォーター社(Swiss Water Decaffeinated Coffee Inc.)が世界で唯一行なっています。
特徴は、他のディカフェの方法とは違って全く化学溶剤を使用しないところです。
使用するのは水だけです!
そのため安全だと言われています。
元々、スイスウォータープロセスの技術は1930年代にスイスで開発が進んでいました。そのあとアメリカなどで幾度と改良が進み、1988年にスイスウォーター社が商業化をしました。現在、世界中でスイスウォータープロセスでディカフェ処理をしてくれるのはスイスウォーター社だけです。
ざっくりスイスウォータープロセス
簡単に説明すると、コーヒーの生豆を水に浸けて、水に溶ける成分と一緒にカフェインも溶け出します。
溶け出てエキスを「カーボンフィルター」と呼ばれるカフェインのみを捕らえるフィルターを通過させます。
そして、カフェインのみを除去し、他の成分はまだ残った「水」で生豆を「味付け」して完成です!
「味付け」するとはカフェイン以外の成分を元の生豆に戻してあげることです。
これで、99.9%のカフェイン除去ができてしまうんです!
スイスウォータープロセス解説動画
スイスウォーター社が出している説明動画です。
英語ですが、ご覧ください。
スイスウォータープロセスの味は?
スイスウォータープロセスの仕組みを知った後で、コーヒーの味はどうなるのでしょう?
一旦、水に成分溶かして、元に戻してるんでしょ?
と考えると味は落ちそうですが、それがほとんど変わりません!
確かに、ディカフェっぽい味がするなとは思ってしまいますが、
ほとんど味わいは同じです。
それを保証するように、日本の大手コーヒーショップ、スターバックスをはじめ、ブルーボトルやタリーズなど大手もこのスイスウォータープロセスを使ったディカフェコーヒーを販売しています。
参考:「ブルーボトル ナイトライトディカフェのコーヒー豆の販売開始 カフェインレス」(2020.7.8)
実際に試してみよう

そこまでいうと、味が気になりますよね!
気になったら、みんな大好きスターバックス行きましょう!
日本のスターバックスでは、ハウスブレンドとディカフェのハウスブレンドが用意されています。
このディカフェハウスブレンドの処理は残念ながらスイスウォータープロセスではなく二酸化炭素抽出法という別のディカフェ処理が行われています。
が、ディカフェ処理されたコーヒーと、ディカフェ処理をされてない同じ銘柄のコーヒーが比べ飲みができます!
運よくドリップコーヒーが「ハウスブレンド」になっていたら、ドリップコーヒーと、ディカフェのドリップコーヒーを注文しましょう。
ディカフェのドリップコーヒーは10分ほどで淹れたてを用意してくれます。
もし、ドリップコーヒーが他のコーヒーだったら、少し値段ははってしまいますが「プレスサービス」を頼んでみましょう!
こちらも10分ほどでプレスで淹れてくれます!
個人的には、通常のハウスブレンドよりディカフェのハウスブレンドの方が苦味が少なく、後味が比較的すっきりしていて好きです。
是非試してみてください!
最後に

冒頭でも書いたように、最近ではディカフェの認知もあがってきています。
全日本コーヒー協会が出している輸入統計を見ますと、10年前に比べディカフェの輸入量は2.5倍から3倍に膨れつつあります。
コーヒーはもちろん身体に害はないのですが、
時間帯や身体の状況を問わず飲めるディカフェがもっと広がっていけばなと思います。
認知が広がれば、技術革新も起こり、もっと美味しいディカフェコーヒーができあがりますもんね!
では、みなさんもコーヒージャーニー楽しでください!
**photos are from unsplash and Swiss Water