先日SCAJ2018に参加してきました!様々なコーヒー関係者の方にお会いしてコーヒーのお話しをし、いろんな産地のコーヒーを試飲でき、コーヒー好きにとっては胸踊るお祭りですよね!
SCAJでは毎年日本一のバリスタを決める「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ (Japan Barista Championship)」の準決勝・決勝が開催され、その年の日本一バリスタが決定します。
2018年日本一のバリスタはUnirの山本知子バリスタです。
(→参考記事:「日本一のバリスタを決めるジャパンバリスタチャンピオンシップ2018結果」)
ワールド バリスタ チャンピオンシップ
ジャパン バリスタ チャンピオンシップでその年のチャンピオンになると、世界大会のWorld Barista Championshio (ワールド バリスタ チャンピオンシップ)に参加ができます。
世界大会のワールド バリスタ チャンピオンシップは2000年にノルウェイのオスローで第1回大会が開催されたのが始まりです。2006年まではヨーロッパの国々で開催されていましたが、2007年に日本で開催され、2011年には生産国であるコロンビアで開催され、現在では世界様々なところで毎年開催されています。
2014年のイタリア大会で日本人の井崎バリスタが優勝し、初めて世界チャンピオンにもなっています。以下に過去の開催場所とワールドチャンピオンのリストを載せておきます。
年 | 開催地 | チャンピオン |
---|---|---|
2000 | モナコ | Robert Thoresen(ノルウェー) |
2001 | アメリカ・マイアミ | Martin Hildebrandt(デンマーク) |
2002 | ノルウェー・オスロー | Fritz Storm(デンマーク) |
2003 | アメリカ・ボストン | Paul Bassett(オーストラリア) |
2004 | イタリア | Tim Wendelboe(ノルウェー) |
2005 | アメリカ・シアトル | Trouls Overdahl Poulsen(デンマーク) |
2006 | スイス | Klaus Thomsen(デンマーク) |
2007 | 日本 | James Hoffmann(アメリカ) |
2008 | デンマーク | Stephen Morrissey(アイルランド) |
2009 | アメリカ・アトランタ | Gwilym Davies(イギリス) |
2010 | イギリス | Michael Phillips(アメリカ) |
2011 | コロンビア | Alejandro Mendez(エルサルバドル) |
2012 | グアテマラ | Raúl Rodas(グアテマラ) |
2013 | オーストラリア | Pete Licata(アメリカ) |
2014 | イタリア | 井崎英典(日本) |
2015 | アメリカ・シアトル | Sasa Sestic(オーストラリア) |
2016 | アイルランド | Berg Wu(台湾) |
2017 | 韓国 | Dale Harris(イギリス) |
2018 | オランダ | Agnieszka Rojewska(ポーランド) |
2019 | アメリカ | Jooyeon Jeon (韓国) |
競技ルールは?
バリスタ チャンピオンシップはどのような競技なのでしょうか?
細かいルールはあとで見ていきますが、簡単に説明すると「競技時間15分以内に、①エスプレッソ、②ミルクを使ったエスプレッソドリンク、③オリジナルのエスプレッソドリンクの3種類を4カップずつ作り、そのスコアを競う」というもの。
日本大会の予選と本戦、また世界大会でも少しずつルールが違うので、今日はジャパン バリスタ チャンピオンシップの決勝戦でのルールを参考に見ていきたと思います。
日本のJBC(ジャパン バリスタ チャンピオンシップ)のルールは主催のSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)の公式サイトにて公開されています。
「競技会」→「JBC」→「競技者募集」→「JBC_ルール規約」
また同じページに、ジャッジのスコアシートが公開されています。
参加条件
まず、競技に参加するためには、
日本国籍等の他に、「登録店舗で60日以上の実務経験があること」とあるので、
最低限の出場条件はそんなに厳しくないようです。
予選大会にはよくバリスタ技術を学んでる専門学校の学生さんも参加しています。
競技内容は
競技内容は先ほど書いた通り、
「競技時間15分以内に、
①シングルエスプレッソ、
②ミルクを使ったエスプレッソドリンク(シングルミルクビバレッジ)、
③オリジナルのエスプレッソドリンク(シグニチャービバレッジ)
の3種類を4カップずつ作り、そのスコアを競う」というものです。
ルールでは、3種類のドリンクの提供順は、競技者が決められるとなっているが、1つのドリンク作成中に他のドリンクを作成し始めるのは禁止(ただし、シグニチャービバレッジの原材料の作成はOK)になっています。
また、ドリンクの提供方法は競技者が決められます。ミルクビバレッジを2杯ずつ2回に分けて4名のジャッジに提供してもいいし、同時に4杯を4名のジャッジに提供してもいいというものです。
または1杯ずつミルクをスチームして、4回に分けて1人ずつ提供してもいいのです。ただ、競技者の指示がなければ、ジャッジはドリンクが出されたらすぐカップのチェックをして飲み始めるので、みんなで一斉に飲んだり、少し時間を置いてから飲んでほしい場合は先に指示をしないといけないのです。
使用するコーヒーはブレンドでもシングルオリジンのコーヒーでもよく、同じ種類のドリンクは同じものを使わないといけないですが、3種類のドリンクごとに変えてもいいし、全て同じでも、そこは競技者の裁量に任されいます。
なお審査員に提供しなければ、失敗などした時はドリンクの作り直しも大丈夫なようです。
エスプレッソドリンク
エスプレッソドリンクはエスプレッソマシンの片側から取れた1オンス(約30ml)の液体と決められており、60mlから90mlの容量のカップに入れて提供するのが決められています。またクレマがあることも採点基準に入っています。
採点基準は、エスプレッソの「酸味、苦味、甘さのバランス」や競技者が宣言したフレーバーが「どれくらいのクオリティであるか」、エスプレッソの「重さや舌触り、フィニッシュの心地よさなどの触感」の3点です。
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジは「シングルショットのエスプレッソとスチームした牛乳の組み合わせにより、濃厚で甘いミルクとエスプレッソがバランスよく調和するドリンク」のことで、240ml未満になるのが基準です。
なお、ラテアートとそのデザインは任意で「中央に丸く白いミルクを浮かべた伝統的スタイル」で提供しても良いとなっており、光沢のあるキレイなスチームミルクに、飲みたくなるようなデザインが描かれていればいいようです。ラテアートを競う競技はラテアート・チャンピオンシップというのがあり、バリスタ・チャンピオンシップではラテアート力はそこまで試されていません。
シグニチャービバレッジ
シグニチャービバレッジは「競技者の創造性や魅力的なドリンクを造りだすスキルを明確に示す、エスプレッソにフォーカスしたドリンク」。
エスプレッソをベースにしたオリジナルドリンクで、アルコール以外の原料なら混ぜてOK。食べ物を添えて提供しても可なようです。
誤解を恐れず、想像しやすいのが、スターバックスのフラペチーノを想像してもらうのがいいかもです。エスプレッソをより美味しく飲んでもらうためのドリンクがシグニチャービバレッジです。
3つの役割を持つ審査員
競技の様子を見たことある方はご存知かもしれませんが、JBCの競技にはたくさんの審査員(ジャッジ)がいます。初めて見る人には不思議に思うはずです。
バリスタと向かい合って席についている4名のジャッジがいます。「この4名は審査員なんだな」ってわかりやすいとおもいます。
ところが、競技中のバリスタの周りには、カメラマンだったり、時間を測ってるタイム係だったり、機材の人だったり、よくわからない人たちがたくさん存在します。その中に、バリスタの周りをせわしなく動き、様子を伺っている際立つ人たちが数名いると思います。「彼らは、審査員なのかなんなのか???」と疑問に思う人も多いはずです。
審査員はそれぞれの役割に応じて3種類に別れています。バリスタと向かい合って席に座っている4名のジャッジは、「センサリージャッジ」と呼ばれます。彼らは主にバリスタが作る3種類のドリンクの質とバリスタの仕草や動き、プレゼンテーション力を評価しています。
その「センサリージャッジ」と反対側、バリスタ側にはタイマーを持ちバリスタが使った後のグラインダーやエスプレッソマシンの状態などを確認しているジャッジが2名います。彼らを「テクニカルジャッジ」と呼びます。バリスタの技術面を評価する審査員です。
そして、最後に、バリスタや「センサリージャッジ」の後ろで動き回ってる審査員1名が「ヘッドジャッジ」と呼ばれます。彼は競技の進行を監督する役目で、技術面やドリンクの品質を総合的に確認しますが、スコアには換算されません。
全てのジャッジが滞りなく評価できるように監視するのが役目です。なお、「センサリージャッジ」が飲んだ後のドリンクをランダムでチェックしており、ジャッジの評価が正しいかをも確認しています。
採点基準
バリスタが作ったドリンクの品質は主に、「センサリージャッジ」4名が確認・評価し、技術面は「テクニカルジャッジ」2名が評価します。この6名のジャッジのスコア合計がその競技者のトータルスコアです。
なお、競技時間は15分で、15分を超えると1秒ごとに1点減点になり、1分以上超えると失格になってしまいます。
技術面での評価
技術面での評価はスコアシートを見てもらう方がわかりやすいと思います。
テクニカルジャッジはエスプレッソ抽出技術、時間、使い終わった後の綺麗さなどを見ています。だから、あんなにも競技中に凝視をするんです。
この記事ではテクニカルの評価は割愛します。興味のある人は、スコアシートを眺めてみてください!
ドリンクの評価
さて、ドリンクの評価をみていきましょう!
ここではセンサリージャッジのスコアシートを参考にみていきます。
ちなみに、6点の評価項目は0,1,1.5, 2, 2.5, ... 5, 5.5, 6と評価付けができ、
0と6のスコアをするときは、その理由とヘッドジャッジの承認が必要なんです!
エスプレッソドリンクの採点基準
まずクレマがあるかどうか、容器が適切かどうかで各1点。
ドリンクの品質として、甘み・酸味・苦味の「味覚バランス」が(6点×2)、フレーバー(6点×3)、ウェイト・テクスチャ・後味の「触感」が(6点×4)となります。
2018年の大会の競技みていると、「触角」を重視する競技者が多く、これは他の採点基準に比べて(6点×4)と配点の比重が多いことが挙げられます。全てトータルで54点満点です。
ミルクビバレッジの採点基準
ミルクビバレッジは、ミルクとエスプレッソの調和具合をみる「バランス」が(6点×2)、「フレーバー」が(6点×2)と、「ミルクビバレッジの見た目」が6点、容器に1点の合計31点です。ミルクビバレッジはミルクとエスプレッソの調和のバランスとフレーバーが配点が大きいので、ミルクに合い、さらにフレーバー豊かなコーヒー豆を選ぶことが重要ですね。
シグニチャービバレッジの採点基準
シグニチャービバレッジもミルクビバレッジと同様、「バランス」と「フレーバー」にそれぞれ(6点×2)の配点があります。ただシグニチャービバレッジの「バランス」は使用した材料とエスプレッソの調和具合を見ます。
それに加え、「独創性」と、「シグニチャービバレッジに関する説明・それに付随する体験」にそれぞれ6点ずつの配点。外観と機能性がそれぞれ1点の配点で、合計38点。
まとめ
どうでしたか?JBCの大まかルールは見えてきたんじゃないかと思います。今回はJBC2018のルールを元にみました。詳しいことは全て冒頭で参照したルールブックに記載されていますので、わからないところがあればそちらを当たってみてください。
これを踏まえ、今年のJBCの準決勝・決勝の様子はYoutubeで見ることができるので、眺めてみるといいでしょう!
残念ながら、過去の競技内容は消されてしまいました今年のJBC2019は9月11日、12日に東京で開催されます。(参考記事:バリスタチャンピオンシップJBC2019 セミファイナリスト16名決まる (2019.8.3))