キーコーヒー株式会社は5月17日(月)に2021年3月期決算を発表した。売上は526億200万円と前年より16.1%減となり、40億8400万円の純損失を計上しました。
キーコーヒー
キーコーヒーは1920年横浜で柴田文次が木村商店を創業したのが始まり。UCCグループと並ぶ日本を代表する大手コーヒーメーカー。レギュラーコーヒーを全国で販売し、百貨店などの直営店でコーヒー豆も取り扱っている。
「トアルコ トラジャ」や「氷温熟成珈琲」などが有名です。直営店では毎月「珈琲探訪」シリーズで月替りのシングルオリジンコーヒーを販売しています。
インドネシアのスラウェシ島には自社農園も持っている。
2020年に創業100周年を迎えてました。
企業理念は「コーヒーを究めよう、お客様を見つめよう、そして心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう 」です。
キーコーヒー売上と純利益の推移
上のグラフはキーコーヒーが公表している決算データから作成しました。2008年から2021年までの売上の推移です。単位は百万円となっています。
売上はそこまで大きく下がったという印象は受けません。
こちらは2008年から2021年までの純利益(損失)の推移です。
こちらを見ると、赤字幅が大きく、やはりコロナの影響は大きかったことが見てわかります。
コーヒー生豆相場は、11月中旬以降、中米を襲ったハリケーンの影響や、天候不順によるブラジルの生産量の減少懸念、世界的なコンテナの不足による輸送上の懸念などにより上昇基調となり、年度を通じては前年に対し約10%高い水準の推移となりました。
(キーコーヒー 2021年3月期決算短信より)
2020年の後半よりコーヒー生豆の市場が高騰し、コーヒーの原価を圧迫していることも一因としてあるようです。
キーコーヒー2021年3月期業績概要
以下に、キーコーヒーの2021年3月期の決算短信から損益対照表の主要な項目を抜き出しました。
2021年3月期とは2020年4月から2021年3月までの期間を指します。
科目 | 金額(億円) | 対売上比 |
---|---|---|
売上高 | 526.6(億円) | 100% |
売上原価 | 396.9(億円) | 70% |
販売・管理費 | 153.7(億円) | 29% |
営業利益 | -24.7(億円) | - |
------ | ----- | ----- |
経常利益 | -31.5(億円) | - |
------ | ----- | ----- |
税引前純利益 | -38.9(億円) | - |
当期純利益 | -40.8(億円) | - |
1株当たりの純利益(EPS)は-190.80円、1株当たりの純資産(BPS)は1386.27円となった。ROEは-12.9%。
キーコーヒーの株価は5月17日の終値で2081円でした。
セグメント毎の事業売上と損益は以下のようになりました。単位は億円。
事業区分 | 売上 | 対前年比 | 営業損益 |
---|---|---|---|
コーヒー関連事業 | 457.7 | -15.5% | -8.3 |
飲食関連事業 | 33.6 | -32.1% | -8.6 |
その他 | 34.6 | -1.9% | 0.3 |
コーヒー関連事業の業務向けは、コロナの影響が大きく、「飲食業や宿泊業を中心としたお取引先へのコーヒー及び業務用食材の販売量が減少し、大幅な減収、減益」となっている。逆に家庭向けは、内食需要の高まりと自宅で過ごす時間が増えたことで、コーヒーを「豆から挽いて楽しみたいという需要が高まり、豆商品の売上が大きく伸長するなど新たな動きが」あったと報告されています。
業務向けでは、「ルートセールスを中心に商品配送を含めたきめ細かい提案やサービスを提供する営業体制で全国に拠点展開していることから、人件費や固定費など重いコストが販売利益を上回る結果」となったようで、大幅な損失になったようです。
上の表を見ると「その他の事業」はそこまで大きく売上を減らしていません。変動の少なかった「その他の事業」とは子会社の、コーヒー豆の通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社とニック食品株式会社の事業を指しているようです。コーヒー豆の通販事業を営むhonu加藤珈琲店では、巣ごもり需要の高まりにより競争が激化する中でも、リピート顧客からの受注増加と新規顧客の獲得により前年に比べ増収、増益となったとされています。
やはり、家庭向けのコーヒー事業は、コロナ禍が追い風になったことがうかがえます。
参考資料: 「キーコーヒー株式会社 2021年3月期決算短信」
関連記事: 「キーコーヒー 2020年3月期決算を発表 売上は微減 純利益は前年比209%」(2020.5.20)
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Image source: KEY COFFEE