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てる コラム

今脚光を浴びるブラジル ダテーラ農園 ブラジルらしくない味を目指して


JBCでもここ最近の流行りは品種ではなく、プロセスに移行しつつあります。
従来のウォッシュトやナチュラルではなく、さらに複雑なフレーバーをつけるために、発酵に工夫を凝らすことが多くなってきています。

さて、最近脚光を浴びることが多いブラジルの農園があります。
「ダテーラ農園」を聞いたことはありませんか?
今日はそんなダテーラ農園のお話です。

ダテーラ農園とは

ダテーラ農園はブラジル・ミナスジェライス州にあるエステートです。
農園内に収穫したコーヒーチェリーを加工する加工場や保管庫などをもち、ダテーラ農園だけで栽培、収穫、加工、輸出まで行います。
ブラジルのデバスコールという会社が経営しています。車部品を主に扱う会社で、今では様々な業種を行い、農業もコーヒー以外にも様々な農作物を栽培しています。

デバスコールは約70年前に会社を設立し、車部品をメインに取り扱っていましたが、35年前に農業を開始しました。パインツリーやフルーツ、そして乳牛などが始まりでした。

1994年頃、乳牛を育てていた農園の一角で、偶然コーヒーの栽培をし始めたことがダテーラ農園のコーヒー栽培の始まりです。

"Producing Coffee for a Better World"
を標榜し、サステイナビリティを大切にしつつ、最高品質なコーヒー生産を心がけています。

ダテーラ農園の取り組み

ダテーラ農園のコーヒー生産をしている区画は2520haと東京ドーム700個分以上にも相当します!
これを一挙に管理することはできないので、5~15haのミニファームとして細かくエリア分けをしてそれぞれ管理者を置き、管理を行っています。

ダテーラ農園で生産されているコーヒーのうち75%は一般的でブラジルコーヒーを栽培しています。ブラジルコーヒーと言って思い浮かぶようなフルボディでチョコレートのような風味とフルーティなコーヒーです。

24%はコレクションダテーラと呼ばれ、フルーティなーフレーバーと酸味を持つ複雑な味わいの高品質なスペシャルティコーヒーで、最後の1%でマスターピースと呼ばれるマイクロロットの新品種や新しいプロセスの新しいフレーバーを持つ特徴的な実験的なかつ高付加価値なコーヒーを生産しています。
このマイクロロットはプライベートオークションを通して価格が決まります。またダテーラ農園は各国の専門商社等と独占契約を結び、それぞれの国ではその会社を通してしか購入ができません。日本は兼松が独占販売権を持っています。

新しいテノワールをつくりだす

コーヒーのテノワールに影響を与えるものとしてあげられるのは、土地、土壌、環境、気候などといったものが挙げられます。こういったものは人間の手によって変えることはできません。
そこでダテーラ農園としては、新しいコーヒーフレーバーを生み出すために、新しい品種の開発、収穫方法の工夫やコーヒーを加工するプロセスの研究、輸送方法などにフォーカスを当てています。

ダテーラ農園が作るコーヒーの中でも先ほど説明した1%の「マスターピース」コーヒーがそれに当たります。

ダテーラ農園では研究開発区画で新しい品種を日夜研究しています。アラモサ種やカフェイン含有量が少ないローリナなどがここ最近ではダテーラ農園の商業ロットにも出てきています。ただ、新しい品種の開発は約20年ほど時間がかかります。

新しいプロセスの開発

また、ダテーラ農園ではプロセスの研究にも熱心です。以下に挙げるプロセスを実際に行っています。
・パルプドナチュラル
・樹上完熟
・サンドライド ナチュラル
・パルプド レーズン
・ハニープロセス
・好気性発酵ハニーかつ嫌気性発酵
・嫌気性発酵ハニー
・ウォッシュト
嫌気性発酵
・乾燥好気性発酵
嫌気性発酵ナチュラル
嫌気性発酵パルプドナチュラル
・好気性発酵ナチュラル
・好気性発酵パルプドナチュラル
・イースト発酵
・低温管理発酵

*好気性発酵はエアロビック、嫌気性発酵はアナロビックファーメンテーションと呼ばれます。

新しいフレーバーや味わいを持つコーヒーを求めて様々な処理方法を試みています。

テノワールを作る4つの要因

コーヒー豆のフレーバーや酸味、味わいといったテノワールを決める4つの要因があります。
(1)環境、(2)土壌、(3)地形、(4)栽培方法や処理方法

(1)環境は暑い、寒い、寒暖差、雨量といった土地ごとの環境を指します。コーヒーのテノワールは環境や微気候に左右されると言います。ただ、これは農園主が何をしようが、農園を移動させないことには変えることはできません。

(2)土壌もテノワールに影響します。全てを変えてを変えることはできませんが、管理はできる要因です。

(3)地形も環境に似ています。地形の標高や、斜度、日照の当たり方などです。これも変える事ができませんが、テノワールには非常に影響します。

(4)収穫方法からはじまり、収穫したコーヒーチェリーの加工、輸出方法までその農園独自のやり方があります。ただ、これに関しては変えることにはコストはかかりますが、農園主の考えによっては新しい取り組みや研究開発が可能です。

ダテーラ農園はコーヒーの味わいにアプローチしやすい栽培方法や処理方法、品種開発といったところにフォーカスして研究開発を熱心に行い新しい取り組みを行っている農園なのです。

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**The top photo is Fazenda Primavera and other photos are from unsplash

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