コーヒー業界の業績をみていきます!
今回は日本の大手コーヒー企業と言えるUCCホールディングス株式会社です。
UCCは株式を上場していないので、公式には業績を発表していません。
ただ、子会社の株式会社ユニカフェが上場企業のため、親会社の企業情報を公表する必要があり、親会社UCCホールディングスの決算も公開されています。
今回はそこからUCCグループの実態を覗いてみようと思います!
UCCとは
UCCは「ウエシマ・コーヒー・カンパニー」の頭文字です。
日本のコーヒー企業を代表すると言っていいほどの大企業です。
創業は1933年。兵庫・神戸を中心に展開しています。
創業者の上島忠雄氏が開発した世界初のミルク入りの「缶コーヒー」が大ヒットを収めます。
今では、コーヒー豆の卸売、家庭用のコーヒーの販売、「上島珈琲店」をはじめ様々な形態のカフェも全国に展開し、コーヒーに関するビジネスはほとんど手掛けているといえます。
ジャマイカやハワイなどに直営農園も持ち、絶滅されたと言われたブルボン・ポワントゥを復活させるなどコーヒーの研究も盛んに行っています。
「ネスレ」や「スターバックス」など世界の大手コーヒー企業同様、もちろん業態は違いますが、コーヒー業界を代表する存在と言えます。
昨年2019年、UCCは新しいサービスとしてコーヒー豆の定期便 My Coffee Styleをスタートさせ、ラテ専門店「LATTE BEANS & ROASTERS」を東京にオープン、また通販サイトもCOFFEE STYLE UCCオンラインショップを開設しました。
ちなみに、コーヒー豆の販売も百貨店などに入る「カフェメルカード 」ではスペシャルティコーヒーが購入でき、おすすめです!また、神戸のUCCの本社ビルの横に「コーヒー博物館」もあり、コーヒー好きなら一度は訪れたいところです。
UCCホールディングス
では早速、決算を見ていきましょう!
2019年1月から12月までの2019年度のUCCグループ全体の連結損益計算書から抜粋しました。
科目 | 金額(億円) | 対売上比 |
---|---|---|
売上収益 | 3275(億円) | 100% |
売上原価 | 2231(億円) | 68% |
販売・管理費 | 957(億円) | 29% |
営業利益 | 73(億円) | 2.2% |
------ | ----- | ----- |
税引前利益 | 66(億円) | 2.0% |
当期純利益 | 37(億円) | 1.1% |
表記がないのですが、損益計算書の科目から国際会計基準(IFRS)を採用しているようです。
なので、売上収益は「売上高」ではないので注意が必要です!
過去の売上と純利益の推移
公表されていた2015年から2019年までの売上収益と純利益をグラフにしてみました。
単位が少し変わり、百万円単位で数字を打ち出しています。
棒グラフが売上収益(数値は右軸)、折れ線が純利益(数値は左軸)をみてください。
2016年の売上が減っているのは、決算時期が3月から12月に変更されたことにより変則会計になったためです。
利益は年によってガタつきがありますが、売上はほぼ3200億円あたりで並行に推移しています。
キーコーヒーの2020年度の業績あたりと比べると面白そうです。キーコーヒーは会計基準が異なるので単純に比較はできませんが、純利益だけで比べるとUCCは37億円で、キーコーヒーは7.2億円です。UCCのほうが約5倍ほど稼いでいます。
UCCの自己資本は607億円なので、ROEを算出すると約6%です。日本企業としてはまずまずで、キーコーヒーは1.5%でしたので、キーコーヒーに比べると経営はうまくいって言えると言えます。
終わりに
日本を代表すると言っても過言ではないコーヒー企業UCCの実態を知ることができました。
ただUCCについて気になる点も少しありました。UCCホールディングスの株主構成は社長の上島豪太氏が55.39%を所有し、残りの44.61%をジーホールディングリミテッドという会社が所有している状況です。このジーホールディングリミテッドが気になったので、軽くGoogleで検索してみたのですが、どうやらタックスヘイブンにある節税目的の上島氏が役員を務める会社のようです。
未上場企業なので、謎は深まるばかりですが、未上場だけあって、UCCはオーナー企業だなっていうのがヒシヒシと伝わってきました。
とは言いつつも、外部者としては、UCCに今後も日本のコーヒー業界を力強く引っ張っていってもらいたいものです。
今後も期待していきましょう。
参考資料: 株式会社ユニカフェ IR情報「親会社等の決算に関するお知らせ」(2015年~2019年度)
**Photo source: UCC