米スターバックスコーポレーション(SBUX)は10月29日に、2020年度通期(2019年10月から2020年9月まで)の決算を発表しました。世界中をCOVID-19が襲った2020年の、コーヒー業界の巨人・スターバックスの業績をみていこうと思います!
ちなみに、米スターバックスの決算は、アメリカだけでなく、日本や中国、ヨーロッパなど世界中のスターバックスを合わせたものになっています。
COVID-19の世界的な大流行の影響を受けても、全世界でのスターバックスの売上は前年比で11%マイナスに留まり、235億USドル、日本円にして約2兆5000億円となりました。純利益は前年比74%マイナスの9億2800万米ドルで、日本円にして約1000億円を残しています。EPS(1株あたりの利益)は79セントとなりました。
世界的な新型コロナ感染症(COVID-19)の流行を受けて、スターバックスでは今年1月の中国での臨時休業措置をはじめ、世界各国で感染症対策のため店舗での影響を一時取りやめていた影響を受けています。その結果、Q2(第2四半期:2020年1月から3月)では純利益が前年比の半減となり、Q3(第3四半期:2020年4月から6月)では日本円にして700億円の純損失を出していました。
期中最後の四半期となったQ4(第3四半期:2020年7月から9月)では、世界中での店舗営業が概ね再開され、売上62億米ドル(前年同期比8%減)、純利益3.9億米ドル(前年同期比51%減)にまでQ2と同程度までには回復しています。
2020年度通期 損益計算書 抜粋
科目 | 金額(USドル) | 対前年同期比 |
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売上高 | 235(億ドル) | -11% |
営業コスト | 222(億ドル) | -2% |
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営業利益 | 15(億ドル) | -61% |
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当期純利益 | 9.2(億ドル) | -74% |
EPS | 79セント | -72% |
世界全体のスターバックスの売上と純利益
2014年から2020年の7年間分の売上と純利益をグラフにしてみました。
黄緑色が売上、濃い緑色が純利益となっています。単位は億米ドルです。
純利益は売上から、原材料や人件費などのコストとその他諸々の経費と税金を引いた最終的な利益のことです。
昨年まではキレイな右肩上がりで推移していましたが、やはりコロナの影響は大きいですね。
売上はそこまで大きく減少していないですが、利益は大きく下げています。
そんな今年も、スターバックスは世界に1404もの店舗を増やしています。2020年9月末時点で、前年比で4%増やし、世界に32,660店舗を展開しています。アメリカに15337店舗、中国に4706店舗となり、アメリカと中国で全店舗の6割強を占めている計算となります。
各国の売上
科目 | アメリカ(USドル) | 世界(USドル) |
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売上高 | 163.7(億ドル) | 51.4(億ドル) |
営業コスト | 145.5(億ドル) | 48.9(億ドル) |
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営業利益 | 18.2(億ドル) | 3.5(億ドル) |
アメリカには1万5000店舗展開し、売上は日本円にして163億ドルです。1店舗当たりにすると、年間売上は100万ドル、日本円でおよそ1億円ほど売り上げている計算です。この売上水準は日本のスターバックスとほぼ同額だと言えます。
4706店舗を展開する中国は、Q4の売上は8.1億ドルとなっています。詳しい数値は発表されていませんが、単純4倍して、年間売上は24億ドルほどかと想定されます。アメリカ以外の世界各国の売上の半分は中国が占めていると言えそうです。
日本のスターバックスの決算はまだ発表されていませんが、直近2019年度の決算から、約1500店舗展開し、年間2011億円の売上は、ドルに換算すると、20億ドル弱になります。世界の売り上げに占める日本の割合も大きそうです。
1株あたりの利益(EPS)
純利益のグラフとほぼ同じことを示していますが、1株当たりに直した純利益(EPS)のグラフです。
今年はだいぶ下げてしまいました。
1株あたりの純資産(BPS)
BPSとは純資産を株式の総数で割ったもので、一株あたりの資産を示しています。
純資産は2018年度あたりから下がり、昨年度から米スターバックスは好業績の裏で実は債務超過になっています。
スターバックスは2018年度から2020年度にかけて250億ドル規模の投資家への還元を約束していました。2019年には銀行から借入金を受けてまで、大規模な自社株買いと配当で約120億ドルを株主に還元しています。
過去10年間の店舗数推移
世界のスターバックスの店舗数の推移をグラフにしてみました。
2010年9月末の店舗数が16,858店だったので、10年で約2倍になっています。店舗数も毎年平均6.8%ずつ増加しています。
2021年度戦略
スターバックスでは、2021年度の1年間で世界に約2100店舗を新たに出店を計画しています。それを踏まえ、年間売上を前年比で20%前後上回る計画を発表しています。
再度COVID-19の感染拡大が起きた時の動向や、消費者が新しい生活スタイルに変化していく中でどう対応していくかが今後の鍵を握りそうです。
スターバックスはCOVID-19が流行したはじめた直後から店舗の休業を断行するなど今年も目が離せませんでした。
今後もコーヒー業界の巨人、そして業界のリーダーたるスターバックスに注目していきます。
参考: Starbucks Reports Q4 Fiscal 2020 Results
**Image source: Starbucks.com